連載 使いみちのない時間・20
陽炎
丈久 了子
pp.656-659
発行日 2001年8月10日
Published Date 2001/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902478
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暑い陽射しが乾いた空気を突き進み,辺り一面をギラつかせていた。アスファルトから立ち上る陽炎が,モハーベ砂漠の縁にある大都市をゆらゆらと弄んでいるようだった。思いのほか汗が流れないのは,乾ききった風のせいに違いないと眞弓は思った。
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