連載 使いみちのない時間・15
爪痕
丈久 了子
pp.228-231
発行日 2001年3月10日
Published Date 2001/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902410
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「なあに,しばらくすれば直に落ち着くだろうさ。婆さんのいつもの発作だもの」
病院の待合室。イスに座り,ヒューヒューと苦しげな息の下で,白髪の男の口元が微かに笑った。その老人の妻を,いましがた搬送し終えた2人の救急隊員が,救命室から出てきた。
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