研究
勤労男性のための系統的健康・栄養教育プログラムの有効性に関する研究
中山 栄純
1,2
,
杉山 みち子
1
,
東 初江
3
,
桑久保 真知子
3
,
土肥 公子
3
,
藤浪 明
3
,
松岡 芳子
3
,
山口 百子
4
1国立健康・栄養研究所成人健康・栄養部成人病予防研究室
2石川県立看護大学
3JR東日本中央管理保健所
4前国立健康・栄養研究所成人健康・栄養部
pp.852-858
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902276
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要旨
生活習慣病の一次予防を行うために,社会的学習理論とプリシード・プロシードモデルを用いた系統的健康・栄養教育プログラム(SHANEプログラム)が開発され,その効果が更年期外来患者において明らかにされている。今回,このSHANEプログラムを勤労男性に実施し,その有効性について検討した。
事務系の教育地区と同職種対照地区の30〜55歳の男性の中から,過去2年間の定期健康診断に基づいて生活習慣病のリスク者を選出し,本プログラムへの参加を呼びかけた。参加の同意が得られた教育地区70名に対してSHANEプログラムを実施し,その効果について評価を行った。対照地区42名については,従来どおりの保健指導を行った。
その結果,教育地区では,教育後に健康改善への意欲が高まり,「健康のためにやっていること」が「特になし」という者は統計的に有意に減少し,運動,食行動の変容した者が増加した。また,特に運動行動では「毎日8000歩以上歩く」者が6か月後に3倍以上の増加を示し,食行動では「栄養や食事に気をつけている」者,「脂っぽいものは控えている」者の割合が増加していた。対照地区ではこのような変化は観察されなかった。
以上の結果より,本プログラムは勤労男性の保健行動の変容に有効であることが明らかになった。
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