連載 いま知っておきたい環境問題・18
家屋内の病害虫・動物—その現状と健康影響(その2)—再興してきたアタマジラミと駆除対策
三原 實
1
1日本環境衛生センター環境生物部
pp.770-777
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902260
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アタマジラミの再興
わが国でも公衆衛生環境が未発達であった第2次大戦以前には,シラミの存在は珍しいものではなかったようです。特に戦後の混乱期にコロモジラミ媒介の発疹チフスが流行し,1946年には,3万2366人が感染し,3351人が死亡しています。
当時は連合軍の占領下で,戦時中に開発された有機合成殺虫剤DDTの使用は,シラミ駆除に強力な効果を示し,比較的短い期間で流行は終息しています。その後,戦災からの復興が進むにつれ,生活の安定,公衆衛生環境の向上,強力な殺虫剤の開発などによりシラミは姿を消し,1950年代半ばには国内で消滅した状態となり社会的にも忘れられていきました。
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