連載 感染症 Up to Date・53
アフリカのAIDS対策を国連安全保障理事会で討論
林 素子
pp.516-517
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902211
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はじめに
2000年1月10日,ニューヨーク国連本部にて,国連安全保障理事会(安保理)が初めて健康問題に触れ,特にサブ・サハラアフリカのAIDS問題に関する公開討論が行われた。これまでも国連は,AIDSを「腺ペスト以来の最悪の感染症災害」と呼んできた。安保理は,国連憲章により「国際平和と安全の維持に主要な責任を持つこと」とうたっており,これまでは武力紛争を中心に討議を行ってきた。
本公開討論で安保理理事長を務めるアメリカ副大統領ゴア(Gore)は,「AIDSの広がりは世界の安全保障に対する危機」であると訴え,ロシアと中国がこの問題を安保理の議題として不適切と難色を見せたが,15の安保理メンバーは,急速に増え続けるHIV/AIDSをサブ・サハラアフリカにおける「人間の安全保障」の第一課題であると強調した。
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