特集 先輩からのメッセージ
地域ぐるみの保健活動を育てよう
浅見 訓子
1
1埼玉県大里福祉保健総合センター
pp.206-208
発行日 2000年3月10日
Published Date 2000/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902155
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保健婦と住民組織
どのような時代であってもどんな環境下にあっても,すべての人々が自分の人生を思いのとおりに生きていくために最も大切な要素が健康です。保健婦の仕事は,その健康を少しでもよりよいものにし向けていく援助活動であり,専門的な知識や技術を基盤にして,人々の生活のありように添った活動で生活を支援することを専門とする職であるのだと,地域住民の健康に向き合ってきた30年余の保健婦の活動から,今改めて感じています。
感染症から慢性疾患へと,保健活動の対象分野も保健活動方法も大きく変化してきたなかで,保健婦としての専門性を生かした活動には,社会環境の変化に左右されない,基本的な活動があると思います。特に,個人や家族を対象とする家庭訪問指導や健康相談などは,保健婦としての活動の代表であると思いますが,その基本は健康教育であると思います。健康教育の対象も方法も,個別,グループ,サークル,住民組織活動,などさまざまです。この度,本稿を執筆する機会を与えていただきましたので,私はこれらの活動方法のなかから,特に住民組織活動の育成の重要さをメッセージとして送りたいと思います。「育成」という言葉には,辞書などでは「立派に育て上げる」という意味があるようで少し違和感を感じますが,育成という表現は保健婦の活動の1つの分類になっていると思いますので,本稿ではそのまま表現します。
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