連載 世界のフィールドから 健康づくりはボーダレス・7
地域に根ざした障害者リハビリテーション―CBR—タイ国力ンチャナブリ県ラオクワン郡での住民参加の地域社会開発
斉藤 百合子
pp.874-877
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902062
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タイの障害者
タイの障害者の多くは地方農村部に居住しており,リハビリテーションの機会から隔てられてきた。障害者は社会のさまざまな参加機会から排除されたり,逆に同情と憐憫により慈善の対象となることも多かった。またタイをはじめ都市と農村の社会格差が大きい開発途上国では,障害者のリハビリテーション施設は都市部に集中する施設に限られがちで,リハビリテーションを受けようとする障害者は家族や地域社会から切り離された生活を余儀なくされることも多かった。
さらにタイ社会では「障害の原因は諸悪業によるもの」という誤った仏教観が浸透している。こうした社会的な差別と偏見により,障害者はリハビリテーションによって障害の改善や社会参加の機会と可能性を有しているにもかかわらず,障害者の生活の質はなかなか向上してこなかった。
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