調査報告
医療・保健・福祉の各職種間の専門性と連携・コーディネートについて—保健婦実習で担当した在宅身体障害者の事例を通して
阿久根 都
1
,
金子 道子
1東京大学医学部健康科学・看護学科
pp.1136-1145
発行日 1997年12月10日
Published Date 1997/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901702
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●要約
身体障害者の在宅生活を支援するために関わった保健婦,在宅介護支援センターのケースワーカー,病院スタッフ,区役所福祉部障害者福祉課およびクライエントや家族が行った事項とその経緯,ならびに各種の専門性と協力体制を保健婦実習で担当したケースにおいて明らかにした。
身体障害者の地域での自立生活に必要な「地域で生きてゆくにあたって必要な自立生活技術の獲得」と「自立生活を支援するサポートシステムづくり」がかなりの部分で満たされており,クライエントの満足度も高いように見受けられた。しかし,「障害者福祉」「高齢者福祉」といったライフステージ別・問題別の縦割り対応がなされていること,それによって関わる職種がさらに多岐にわたること,地域保健法の改正によりその点を克服するために位置づけられている組織がすべてのケースについて機能する余裕がないこと,職種間の役割の境界が不明瞭な点もあることなどの問題点が明らかになった。
また,本ケースでは保健婦がコーディネーターとしてかなり有効に機能していたが,保健・医療・福祉を同時に満足させる総合的なサービスのコーディネーターについて再考する必要があるように思われた。
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