連載 衛生制度の開拓者たち—明治はじめ京都における政策をめぐって・3
種痘医たちの歴史的役割
小野 尚香
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.1134-1137
発行日 1993年12月10日
Published Date 1993/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900846
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人は,時代という縦軸と,地域という横軸の座標に位置していると思うことがあります。前回,お話したように,種痘の必要性をいちはやく認識し,その普及に惜しみない労苦をささげた医師たちも,時代のゆえに,また京都という地域ゆえに,求められた役割と評価がありました。
彼らは,京都府が種痘普及にみずから着手すると同時に,府に採用され,表舞台に登場してきました。種痘施術の専門医として認定され,種痘制度の起案者として,また実務者として重んじられていきました。彼らはまた,蘭方医として,西洋医学をベースとした新しい政策のなかでも,役割を求められていきます。それは,医療や医学教育にもおよびました。
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