連載 母と子のこころの相談室—家族編・5
家族がまとまるということ—関係を育む土台としての家族
田中 千穂子
1
1花クリック精神神経科
pp.404-407
発行日 1993年5月10日
Published Date 1993/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900695
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このシリーズもあと2回を残すのみとなりました。家族についてはまだまだ書き足りないことも多いように思いますが,あまり時間もありませんので,一足飛びに「老いから死へ」という,人生後半部のテーマに移りたいと思います。私はこの時期に関しては,実際のケースを扱う機会が少なく,それほど多くを経験していません。しかし私はクライエントの問題を,現在の時点での個の問題としてのみ考えるのではなく,その個人が属している家族各人との関係性という視点からも捉えることが必要であると常々感じています。そこで今回は,母親が痴呆症になったことによって,初めてバラバラだった家族1人ひとりが,自分の家族の中での役割に目覚め,「家族」を大切にするようになったケースを通して,家族がまとまるということについて,考えてみたいと思います。
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