特集 保健・医療・福祉複合体
形よりも実質を重んじたい保健・医療・福祉の連携—保健所の立場から
櫃本 真一
1,2
Shinichi HITSUMOTO
1,2
1前愛媛県伊予保健所
2愛媛県保健環境部保健指導課
pp.513-516
発行日 1992年6月1日
Published Date 1992/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903763
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はじめに
近年,脳卒中などによる寝たきりや痴呆の増加,それに伴う医療費の急増など,高齢化社会が深刻視されることとなり,疾病の1次2次予防は無論のこと,3次予防や在宅医療の推進に,国をあげて取り組まざるをえない状況を迎えた.差し迫った問題であるがゆえ仕方がないのかも知れないが,本来の福祉から考えると,寝たきりや痴呆対策に,少々片寄っており,行き過ぎの感もある.とは言え,これを契機に,保健・医療・福祉の連携が叫ばれるようになったことは,この現況がもたらした利点と言えよう.今まで各機関それぞれが,自分たちにとって都合の良い運営をしてきたことが,重なりの無駄や漏れを生じる原因になっていたのではないか.そしてそのことが,結果的に住民に犠牲を払わせてはいなかったかを確認する必要がある.
当然ではあるが,保健・医療・福祉の連携そのものが目的ではなく,住民サービスの充実を通して,住民の心身両面の健康レベルの向上を図ることが目的であり,連携は手段である.住民にとっては,保健・医療・福祉の連携などどうでもよいことであり,連携が自然のうちにとられ,連携という言葉そのものが必要でなくなることを最終的目標に置きたい.
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