連載 保健婦はおもしろい
いま,大切なものは……
三島 ふみえ
1
1島根県出雲保健所
pp.498
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900514
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就職して18年。早いものである。企業ではバリバリの中堅社員なのだろうが,未だに駆け出し時代の失敗をやっている。ここまで勤めてこられたのも家族や周囲の支えがあっての事。当時を振り返れば活動も大きく変わり,いまでは情報化・高齢化社会と言われ,ワープロ,パソコンが職場に入り老化する頭をカタカナ用語が翻弄する。ものに対する考え方や意識も時代の流れと共に変わらざるを得ないのだろうか。
そんなある日,「最近の若いお母さんの指導は,やりにくくなったよ」と離乳食実習を終えた栄養士さんの話。聞いてみると“落としぶたをして煮るんですよ”と言ったら20代になったばかりと思われる新米ママさん,何を思われたのか鍋のふたをそのまま床に落とされたとか,笑い話のようだがホントの話である。学歴優先で,生活体験が不足なのか,核家族,少子化の中で親から子,孫へと受けつがれるべき生活文化が,しだいに失われていく結果なのかと話題になった。
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