連載 保健婦はおもしろい
多くの事例に育てられて
望月 朝味
1
1岐阜県多治見保健所
pp.83
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900419
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現在の職場に転勤して間もなく一通の手紙が私の元に届いた。それは,前の職場で私に精神への取り組みのきっかけを与えてくれた親子からのものだった。「生きる望みを失い途方にくれていた時に助けられ,ここまで来れた。これからは家族で力を合わせてがんばるから見守って欲しい。お世話になったから何か保健婦さんの手助けがしたい」というのだ。
病院のケースワーカーから父親は薬物中毒,息子は精神分裂病で2人とも家でブラブラしている。母親1人が働いてめんどうみているが,長期に渡って医療費を滞納,通院も途絶えがち。この家族の相談にのってもらいたい,との連絡があった。さっそく訪問したところ,母親は初対面の私に助けを求めるかのように,結婚してから今までの長い苦しい経過を一気に話し始めた。
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