特集 保健婦がしばしば使う用語を考える
私の考える「組織づくり」
新藤 京子
1
1山梨県立高等看護学院保健婦学科
pp.22-25
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900405
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はじめに
保健婦活動をはじめて4年目の1971年の頃,①地区診断の理論と実際(柏熊岬二・宮坂忠夫著:績文堂,1959)②コミュニティ・アプローチの理論と技法(青井和夫・他著:績文堂,1963)の2冊の本に出合った。保健所内で若さを特権としていた時期で,2冊を完読した。以来,私の保健婦活動の一方に,個別の家庭訪問活動があり,もう一方で,ボロボロとなった,かの本の理論・技法・実際にこだわりつづけ,担当市町村の地区診断→コミュニティ・オーガニゼーションのプロセス重視の方向を常に模索しつづけてきた。
今回,「私の考える『組織づくり』」のテーマをいただいた。原稿用紙に拒否反応を示す私が,あえて快諾した理由が,1つある。わが県の保健婦諸姉に,誌面を通して語りたい思いを常に持ちつづけてきたからである。担当地区の住民の人たちと共に活動をすすめていく「住民主体」の確立は,地区診断の技法により明らかにした保健問題(行政側提供)を“たたき台”として,住民の考えや実態をききながら,本当の保健問題を共有し,活動をすすめていく全プロセスの中にこそあるのだと確信している。
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