PHOTO GRAPH
生きる—漁
田邊 順一
1
1日本写真家協会
pp.85-88
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900187
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
真栄城 勇さん,72歳。沖縄本島の中央部与那城村で妻のフミさん(64歳)と2人で漁をして暮らしている。海が時化ないかぎり毎日早朝から海に出る。漁場によっては4時だったり5時だったりする。前夜海中に張っておいた刺網をひきあげに行くのだ。ひきあげるのに小1時間。この時,白い固まりが,海中に揺れたりすると疲れなんざいっぺんにとんでしまう。腰の痛みも忘れてしまうから不思議だ。
だが,今年は不漁つづきだ。最高のときで5キロ。それも2日とっつかない。浜に戻ってくるのが9時か10時。フミさんが必ず出迎えてくれる。腰を痛めている夫を気遣い,舟の引き揚げと網をひろげるのを手伝う。フミさん自身も永年のリウマチで,今では箸を持つことができずにフォークを使っているほどだ。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.