特集 難病患者・家族への地域ケア
難病患者に対する荒川区医師会の取り組み—難病相談室・訪問診療
飯島 治之
1,2
1荒川区医師会
2飯島医院
pp.1096-1104
発行日 1990年12月10日
Published Date 1990/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900165
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難病患者に対する医師会活動の過程
荒川区においては昭和51年10月に,東京筋萎縮症協会主催により医師会館にて難病検診が行なわれ,昭和53年より荒川区医師会主催となり年1回開催している。更に昭和60年よりは難病相談室を月1回,難病検診を年1回開催し,昭和61年よりチームによる家庭訪問活動(訪問診療)を実施することになったが,昭和62年11月より東京都医師会が東京都から委託を受けて在宅難病患者訪問診療事業を実施しているので,それに移行して現在に至っている。
いわゆる難病は循環系,血液系,神経系,消化器系,膠原病系,泌尿器系と種種の分野にわたっているが,近年臨床検査の発達により医師が患者を診る時間よりも検査データをみる時間の方がむしろ長いといわれる中にあって,神経内科の診察は患者が診察室に入ってくる瞬間から診察が始まり,こまやかな観察や患者の体に手を触れる神経学的検査により診断が可能なことから,医師と患者とが親密に交流できる残された数少ない分野であることもあって,当区では神経難病についてのみ相談,診療を行ない現在に至っているが,未だ他分野の難病に対しては余力がないというのが実状である。
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