特集 老人の健康教育活動
老人の寝たきり予防の健康教育
森下 浩子
pp.813-820
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900125
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はじめに
人口1万4300人で30km2の半島のわが町は造船を基幹産業として戦後発展してきた。一方,畳表の産地でイ草作りの盛んな所であった。しかし町全体は豊かとはいえず,その2大産業は身体を酷使する最たるものであったと言えよう(ちなみにイ草は早朝4時には起き,カンテラの灯でイ草を刈り,イ土で染めたイ草は,真夏の道端に日中,天日に干すのである。そして夕方また,カンテラをともし夜9時過ぎまで刈る)。
当時,過労死と言う言葉はなかったのであろうか。その当町を引っぱってきた人たちが今,老人クラブのメンバーであり,寝たきり老人となっている人たちである。特別な住民組織もなく,8年前保健婦は1名だった。その町で8年間ささやかに実践してきた,公衆衛生活動の一部であり中核となっているのが,これから述べる寝たきり対策である。
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