特集 家族機能と健康問題
保健所の窓口から見た子育て期の家族の問題と援助のあり方—セルフヘルプを基盤としたクループづくりに向けて
高橋 律子
1
,
米山 奈奈子
2
,
小宮 敬子
3
1元練馬区石神井保健所大泉保健相談所
2中野区中野北保健所鷺宮保健相談所
3東京都精神医学総合研究所
pp.456-463
発行日 1990年6月10日
Published Date 1990/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900073
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はじめに
「子育て期の家族」という言葉からイメージされるのは,どのような家族の姿だろう。幼い子どもを中心に,日々の忙しさに追われながらも笑いが絶えない活気ある家族だろうか。それとも高層のマンションで1日のほとんどを母親と子どもだけでひっそりと過ごす,孤立した家族の姿なのだろうか。保健所の窓口では様々な「子育て期の家族」に出会う。今,述べたそのどちらの家族の姿も見える。
「家族の問題」はふだん何気なく使っている言葉であるが,いざその意味を問い始めると,すぐにははっきりとした答えが見つからない。この問いに答えをみつけていく作業自体が,このテーマを考えていくことでもあったといえる。しかし「家族の問題」を論じることは,私たちの手に余るテーマであるし,また私たちの立場にもそぐわないことであろう。そこで本論では,保健所で出会う「気になる母子」の姿を追うことを通して,そこに反映された家族の問題に迫っていきたいと思う。保健所の現場から,保健婦の目を通して見えてきた「子育て期の家族の問題」を軸に,その援助のあり方を模索してみたいと私たちは考えた。
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