- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
お誘い
先月の24日(土)東京で2つの,それは健康社会学研究会と保健医療行動科学会ですが,どちらもメーンテーマに“ヘルスプロモーション”を掲げてセミナー,シンポジウムが開催されました。私は前者のセミナーに参加して,まさに時代は変わりつつあることを実感しました。日々の仕事の中で,それを感じつつも振り返ることをしないままに次の仕事や雑事に着手してしまいます。私たちにとって学習会はそんな雑事を1つ増やすことになるのかもしれませんが,確かに立ち止まることも必要ではないかと思います。
そんな思いで学習会を発足させたいと考えています。
また,私たちにとって“雑事”や“日常”こそ仕事の大切な基盤であるはずです。まずはそのあたりから学習していきたいと思います。どうか,この誘いに誘われて,学習会発足に御協力下さいますようにお願い致します。
1989年7月5日
上の小文は学習会を発足しようと周囲に呼びかけた時のものです。このあと半年間の準備を経て,1990年1月に私たちの自主的な学習会,TOHP(トープ;Thinking Of Health Promotion)が誕生しました。まさに,ことのきっかけはヘルスプロモーション(以下,HPと略す)にあったといえます。
HPの高い理念と現実的な戦略にふれた時,何年間か喉につっかえていたものが落ちたような気がしました。それは次の文に端的に表れています。「HPは,一方ではライフ・スタイルに直結した健康に対する生活戦略であり,他方では健康政策に直結した政治戦略である」1)という一節です。
まず,気持ちがすっきりした理由を具体的に2つに分けて述べてみたいと思います。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.