研究
健康診断における血圧再測定の意義—連続2回血圧測定結果から
川田 智之
1
,
高橋 みどり
1
,
近藤 弘子
1
,
小山 洋
2
,
鈴木 庄亮
2
1群馬県健康づくり財団結核予防事業部
2群馬大学医学部公衆衛生学教室
pp.945-948
発行日 1989年11月10日
Published Date 1989/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207845
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1.はじめに
血圧値の変動については,今日まで多くの報告がある。たとえば,24時間の最高および最低血圧値を10分おきに測定して,短時間に急速な変動が起こること1)や,軽い作業に従事している9名について,それぞれ5日間90回の血圧測定による日間変動は,最高・最低とも20〜30mmHg程度であること2)などである。以上の2報告は健常者についてのものであるが,Silverbergらは,高血圧治療中の患者26名について外来で分単位の血圧測定を行い,会話の有無と測定値の関係を調べた結果,沈黙により最高血圧は19.7mmHg,最低血圧は11.3mmHg低下したと述べている3)。さらに,土屋らは1回目と2回目の差が±5mmHg以内をほぼ等しいとして,75例に連続血圧測定を行った結果,最高血圧は66%,最低血圧は70%でほぼ等しく,1回目より2回目が低いものは最高血圧で28%,最低血圧25%であった4)。
著者らは健康診断(以下健診と略す)で行われる血圧再測定値の変動について,血圧値が境界値以上の対象者のカルテに記載された数値を用いて分析したので報告する。
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