書評
―著者 大倉 興司〔東京医科歯科大学助教授〕―人類遺伝学入門〔第3版〕
田中 倬
1
1埼玉県立大宮小児保健センター
pp.923
発行日 1987年10月10日
Published Date 1987/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207410
- 有料閲覧
- 文献概要
私が最初に本書を手にしたのは,遺伝や染色体の勉強を始めた12年前で,のめり込むように読み進めたことを憶えている。当時の私は遺伝の知識が皆無であり,遺伝学の専門書は手に負えないし,手ごろと思える小冊子では簡潔すぎて十分な知識がえられなかった。入門との表題であることから気軽に手にしたのであるが,内容は相当に高度である。しかし第1章の「人類遺伝学の重要性」では,社会とのかかわり,遺伝学的病因論など,身近な生活の場における遺伝の問題や,ヒトはなぜ病気にかかるのかの根本的命題について,遺伝学的立場から人間や社会を全体的にとらえており,興味深く読み進めることができる。また,なめらかな文章で記されているため,高度な内容の理解も容易である。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.