母子/活動報告
母児ともに問題をかかえる発達遅延児への集団プレイ—地域公民館活動と保健所活動の接点として
大巻 悦子
1
,
清水 洋子
1
,
大西 百々代
1
1大阪府豊中保健所
pp.406-412
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207165
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I.はじめに
近年,母性と乳幼児をとりまく社会環境は,都市化,核家族化および出生率(再生産率)の低下などによって大きく変化してきている。特にマスメディアなどの情報の氾濫は,育児知識の過多を生じ弊害も少なくない。
このような状況の中で保健所は,1歳6か月児健診や3歳児健康診査を実施しているが,言葉が遅れたり,落ちつきがなかったり,友だちと遊べない児や,児へのかかわり方がわからない母親など,母児ともに問題があるケースがふえている。これらのケースへは,保健婦が個別的に訪問による指導などを行ってきたが,個に対する指導だけでは児の発達や母親の児へのかかわり方を把握することは難しく,集団の中で,児や母親に直接指導する方が効果が上がるのではないかと考えた。それは,母親が集団の中で他の児と接触してみて,はじめて今まで気づかなかった自分の子供のことがわかったり,児との遊び方を具体的に学んだり,また児の方も同年齢の小集団で限られた時間の中で,目的をもって同じ課題をこなすなど,家庭では経験できないことにとりくんでいこうというものである。
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