特集 保健予防活動—保健所の戦術と戦略
館林保健所の肺がん検診の実際
柏瀬 万里子
1
Mariko KASHIWASE
1
1群馬県館林保健所
pp.239-242
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207909
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■はじめに
わが国の死因第1位である悪性新生物のなかで,胃がんは集団検診等の体制が確立され死亡率は著しく減少している.その反面,肺がん死亡は上昇の一途をたどっており,近い将来において胃がんを抜き,がん死亡の第1位になると推測されている.
群馬県では,国のがん対策に呼応して,昭和47年に県立がんセンター東毛病院を開設したが,訪れる肺がん患者のほとんどが手術不可能な末期患者であったことから,早期発見の方法が模索され,その結果,結核住民検診の間接撮影フィルムを利用した肺がん検診が,関係団体や医師会の賛同を得て,太田・館林保健所管内で始められた.その後,「胸部疾患対策委員会」の設置により,読影スタッフの確保と読影体制が確立され,昭和54年から全県下で実施されるようになった.さらに昭和56年から,県の5年継続の重点事業として太田・館林保健所管内で,肺門型早期肺がんの発見のため,喀痰細胞診を併用した検診に移行した.
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