グラフ
医療費と公衆衛生—アメリカの経験(2) 営利化への道
日野 秀逸
1
,
菊地 頌子
2
1国立公衆衛生院衛生行政学部
2江東区城東保健所
pp.169-176
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207129
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アメリカの医療保障の特徴は公的保険が貧弱で,私的保険に依存していることである.その原因としていくつか考えられるが,広大な国土と豊かな資源に恵まれた若い資本主義国であったために,国内市場の拡大と国民の自由な努力で資本主義の行き詰まりを打開できてきたこと,経済的自由主義の原則を維持できたこと,労働力不足による高賃金を得た労働者が社会保険制度の確立に反対したこと,州政府の自治権が強く全国規模の制度化ができにくいこと,社会保険を「社会主義医療」とみなすアメリカ医師会の強い反対があったこと,などが,公的保険制度の発達を阻害してきたと考えられる.
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