書評
—阪本 恵子著—ストーマケア—オストメートへの理解と援助
小路 ますみ
1
1福岡県京都保健所
pp.388
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207001
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私がオストメートに出会ってから,4年の歳月が流れました。その間手がけた"同憂者の集い"は,一町村にとどまらず,近隣の市町村からの参加がみられるほど大きな輪に発展してきました。業務が繁雑化する中で,4年もの間微力ながら携わってこられたのは,オストメートの"自立"への意欲と,一つの逆境をのりこえた人々の深い人間性にささえられていたからです。
"あたりまえ"である幸福,これは"あたりまえでなくなった"人のみが知る幸福なのです。人が生きていく上で,"あたりまえ"の排泄が,そうでなくなった時に感じる悲痛な思い。「何の知識も持たないまま手術を受け,お腹の突出物を見て驚き,目の前が真暗になり,声も出ず,涙がとめどなく流れました。」これが多くのオストメートとストーマとの出会いの言葉です。そして,ストーマを受容し,体の一部であると思えるまでには,最低1年はかかります。その間,癌再発への不安を持ちながら,ストーマの取扱いに四苦八苦し,合併症にも悩まされます。又排泄行為であるがために,家族にさえも悩みを打ち明けられず,"自閉的"になる方も少なからずいます。地域で働く保健婦にとって,看護がこれほど求められる分野は数少ないのではないでしょうか。
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