書評
—小石秀夫 鈴木継美 編集—栄養生態学—世界の食と栄養—
丸地 信弘
1
1東京大学医学部保健学科
pp.135
発行日 1985年2月10日
Published Date 1985/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206959
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保健医療活動に発想の転換を痛感
保健婦雑誌のシリーズで"第3の視点"とその基本的活用をひととおり発表し終わった頃,私はここに紹介する著書の編者である鈴木継美氏より本書の贈呈をうけた。同氏は2年前に生態学的健康観(篠原出版)も出版されている私達の先輩であるが,私は「栄養生態学」というタイトルにある種の好奇心をもって本書を読み始めた。
編者らによると,栄養生態学とは,人びとの栄養状態は生態学的条件(自然,技術,社会システム)に規制されているという前提に立って,そうした栄養状態がいかなる生態学的仕組みで作られているか研究する学問だという。もっとも,この学問はまだ目的や方法が必ずしも確立していないと認めながらも,新しい学問的方向性を模索して,人びとの食生活に係わる適応性を広い観点から研究しようとする編者らの意気込みが満ちわたっている。
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