連載 たくましく生きるネパールの人々・2
ナマステの国,ネパール
馬場 新子
1
1結核予防会結核研究所
pp.400-401
発行日 1983年5月10日
Published Date 1983/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206684
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山行き
山村の部落を巡回するネパール結核対策事業に参加して4日目。山々のひだの中に入り込んでしまっては,もう前へ向かって歩くしかない。と言っても見渡す限り山並が続いている中でどちらが前なのかもわからない。
しかも雨期の真最中で,標高2,000m前後のこの辺りでは,山蛭が行く先々で私達を狙っていた。地面からはもちろん,木の葉や枝に待機していて人の気配を感じるとポトりと落ちてくっつき,人間の血をいやという程吸い取る何とも気味の悪い吸血鬼である。しょぼ降る雨に山道は滑りやすく,小さな川筋のできた歩きにくい所ばかりがやたらと続く。
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