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生きる技術
神谷 栄子
1
1谷田部町役場
pp.40-41
発行日 1983年1月10日
Published Date 1983/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206621
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初めて彼女を訪問したのは8月9日でした。妊娠9か月で生活に困っているという情報を得たのがきっかけです。それ以後,谷田部町から転出するまで頻回に彼女と会いました。どんなうそをついても,人をだましてその場を切り抜けても,4人の子供を育てていくという姿に,良い面,悪い面を含めて感じるものがありました。
2人の小学生の給食費,家賃(町営住宅),税金などが納められない状態で,夫はシンナーをまた吸い始めました。7月までは彼女が生命保険会社に勤め,月々3〜5万円の収入を得ていたのですが,今は実家からの援助で何とか食べているというのです。ゴムの型抜きや,栗の皮むきの内職をして生計をたてているわけです。夫の方は鉄工会社に勤めてはいますが,気分次第で行ったり行かなかったりの生活,それでも月々いくらかの収入はあるのです。役場の管理課の方からも家賃の支払いの催促に何度か訪問しているのですが,食べるものもないのに支払えないの一点張りです。主に費用の関係で自宅分娩を希望していますが,前回分娩時,胎盤用手剥離だったのでやはり心配だというのです。
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