フォト
生きる
田邊 順一
1
1日本写真家協会
pp.791
発行日 1988年9月10日
Published Date 1988/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207595
- 有料閲覧
- 文献概要
山中湖畔の朝。まず助手席のガスコンロで湯をわかす。オムツを替え、下をきれいに拭いて。湯を替えて全身を清拭。床ずれを防ぐため背中にアロエクリームをすりこむ。再び湯をわかし、湯ざましにして膀胱洗浄。これがすむと朝食。そして近くの水場で洗濯。干し終わる頃には昼食の用意が待っている。
だが、時間に縛られることはない。ゆったりと、しかし確実に作業をすすめる。明治四十年生れの川崎政吉さんと妻のヤエさん夫婦だ。大正四年生れのヤエさんは重度のリウマチで手足は全くきかず、完全に寝たきりになっていた。政吉さんはそういう妻の食事から下の世話まで全てのことをしながら、車の生活を十二年に亘って続けてきた。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.