発言席
ナーシング-ホームをめざして
石原 美智子
1
1特別養護老人ホーム・サンビレッジ新生苑
pp.809
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206580
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昭和38年に制定された老人福祉法によって生まれた特別養護老人ホームは,貧者や身寄りのない老人のみを収容した養老院的な性質のものではなく,富や家族数に関係なく,身近に介護者の無い老人のための,所謂ナーシング-ホームとしての性質のものであって,最も医療に近いところに位置する老人ホームである。ナーシング-ホームであるからには,欧米のそれのように介護老が有資格の看護婦であるべきであるが,日本の現状がそれを許されなかったのであろう。医療の分野から離れて福祉の分野にウエイトが多く置かれ,介護者は2〜3の看護婦を除いて全くの素人が配置された。そのために旧態依然とした養老院の影を引きずりながら歩んできた特別養護老人ホームではあったが,幾多の模索の結果,現在ではそれなりに新しい型を作りつつある。
昭和51年に100床の病院に併設された特別養護老人ホーム・サンビレッジ新生苑では,地域に根ざした老人福祉と老人看護が行われることを目標にスタートした。そのためにまず素人の寮母の教育に重点を置き,最初に看護の知識と技術の指導を行った。寝た切り老人のおむつ換え,体位交換,入浴介助,食事介助,車椅子介助の技術を習得すると同時に褥瘡の完治を目指した。
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