活動報告
都市における妊婦の生活実態—妊娠届け出時の相談事業より
田中 久恵
1
,
大高 せつ子
1
,
北沢 シズイ
1
,
斎木 イツ
1
,
芝山 紀子
1
,
福島 みのる
1
,
竹俣 高行
1
,
嶋 英子
2
,
川田 信子
3
1中野区保健衛生部
2中野保健所
3中野北保健所
pp.295-305
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206238
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I.はじめに
戦後わが国の母子保健は著しい改善をみたといわれているが,一方では急激な人口の都市集中化,技術社会化は保健衛生上に種々の問題をひき起こしている。かつては妊婦は家庭や地域社会の中で,先輩の知恵や助言に支えられてきたものが,核家族化や近隣との疎遠な関係の中で孤独な存在となりつつある。保健情報はかつてないほどちまたにあふれているにもかかわらず,かえってその情報過多がノイローゼや不安な状態にかり立て,また子供を生み育てる自覚と責任を持たない未熟な母親を生み出している。
近年,健全なる母子の育成を図るため,各種健康診断,生活・医療助成や保健指導など各段階に応じた,きめ細い行政施策が整えられつつあるが,必ずしも個別の事情に合わせた活用が図られているとはいえない。保健事業の個別的なPRは,妊娠の届出に基づく母子健康手帳の交付の時点が,まず第一の機会であるが,一部市町村を除き,役所の窓口で事務的に処理されているのが実情である。
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