母子保健レポート 調査
臍ヘルニアをもつ小児の保健指導
千葉 敦子
1
,
成田 栄子
2
1元熊本県八代保健所
2熊本大学教育学部
pp.213-218
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206101
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はじめに
乳幼児の健康相談等で,臍ヘルニアのある小児を見かけることがかなりある。母親からこの子は"でべそ"でしょうか,と心配げに相談が持ちこまれることも多い。このような場合,従来ほとんど一般的に行われている絆創膏による圧迫法を指導してきているが,しかし絆創膏によるかぶれや,はずれやすいこと等により中断されることも多い。また絆創膏による圧迫法については,桜井1)の述べるような対症療法的な方法論の検討はあっても,圧迫法そのものの効果については,ほとんど検討しないまま続けている現状である。
ところが西村2)は,"臍ヘルニアの自然経過をみると,大体生後10日頃からおそくとも1か月半までに発生するのが普通で,この時期の乳児は,哺乳のさいにかなり大量の空気をのみ,腹部が膨満している。臥位しかとれないため,一度のみこまれた空気は,ゲップにより口からだされぬ限り,消化管を通って肛門から排出される。ゲップの出し方が十分でないと腹部が膨満して,その際臍輪が少し大きいとそこから腸管が脱出して臍ヘルニアになるものと思われる。ゲップをよくさせ鼓腸をおこさないようにすると,そのまま放置してほとんど6か月頃には治癒する。"と述べている。
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