書評
—山下章 高橋園子他著—老人保健 改訂第2版
西川 滇八
1
1日本大学
pp.516
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205743
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わが国の人口が老化して,いわゆる欧米先進国と同様の状況になることが予言されてから久しい。しかも,わが国の人口老化の加速度は,欧米のそれに比べると著しく早いのが特長になっているから,その対策も早急に樹てなければならないはずである。そこで,このような大勢をふまえて,すでに著者らは5年前に同名の著書第1版を刊行している。
その後5年を経て,わが国が老人社会化していることは誰の目にも明らかになってきた。老人医療の無料化が普及してきて,老人の受療率が上昇してきたことは,老人に生きる意志を蘇えらせた素晴しい福祉政策であると評価していた。ところがニクソン-ショックにつづくオイル-ショックによって,わが国の産業経済界が打撃を受けるやいなや,"福祉こそわが国是"と誇らかに謳い上げていた福祉国家建設への掛け声も,鳴りをひそめてきたことはご承知のとうりである。そして老人医療の一部有料化までも言いだしかねない状況になっていることは不がいない次第である。
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