連載 私達を育ててくれた事例・1【新連載】
保健婦活動の手がかりを求める行動が職場づくりに反映された時期
久常 節子
1
1福井県立短大
pp.214-219
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205701
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はじめに
大都市に隣接し,人口14万,その2/3がボーダーライン層に属し,人口流動が激しく,長屋,アパート,文化住宅が無秩序に建てられた人口密度11,531という過密地域であるK市に,昭和48年4月,K保健所が新設され,10名の保健婦により保健婦活動が開始された。
この経過を二つの時期,昭48.4〜49.2,昭49.2〜に分け,傷つけあったり,投げだそうとしたり,不幸にして不帰の客とさせてしまった問題の事例を通して,10名の集団が,自分たちの専門性,あるいは役割をどのようにして気づきはじめていったのか,その歴史を書いておこうと思う。これは事例分析そのものが目的ではなく,保健婦自身の変容が援助のあり方にどのように反映され,専門職の集団としてめざめていったか,その過程に焦点を当てたものである(そのため,上司や他の職種からの多くの援助や指導に関しては,それが保健婦の態度の変容に直接かかわりをもったもののみをとりあげ,他はすべて削除していることをおことわりしておく)。
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