連載講座 がんの疫学・2
生活環境・嗜好習慣とがん発生
丸地 信弘
1
1東大医学部保健管理
pp.208-213
発行日 1974年3月10日
Published Date 1974/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205452
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はじめに
前号では,おもに日本におけるがん死亡の部位差,地域差,更にはそれらの国際比較を行なって,日本のがん死亡の実態をおおよそ位置づけた。これはがんの疫学的流行現象を考えるとき,生物,地理,および社会的現象に大別するが,おもにその生物学的現象について述べたことになろう。
そこで,本号ではがん発生における地理的および社会的現象について述べることになる。これは換言すればがん発生に関与する広義の生活環境要因ということになり,その昔,イギリスの煙突掃除人夫に多発した陰のうがんはその好例であり,広島・長崎で代表される放射能による白血病,更にタバコ喫煙量の多い人に多発する肺がんなどにそうした例は今日までにたくさん報告されている。
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