日本列島
「い」は「いのちあってのものだね」—丸山博教授(大阪大学)退官記念会
長谷川 泉
pp.339
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204666
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阪大衛生学丸山博教授の定年退官記念講演会が3月17日午後1時半から大阪中之島日生ビルで開かれた.衛生学上の業績だけでなく森永ヒ素ミルク問題など広い社会医学的実践をつみ重ねて来た教授の退官を記念するつどいであるだけに各方面から多彩な顔ぶれが集まった.「恐るべき公害」の著者宮本謙一氏は,にせものを嫌う科学者としての丸山教授の商品公害研究への示唆を紹介したほか,ペテイの都市問題研究に触れ,さらに設立予定の自治体問題研究所や大阪から公害をなくす会の会長としての丸山教授の今後に期待する旨を講演した.丸山教授の指導によって医学史研究会を推進している小松良夫氏は,丸山教授の人間像の裏面構造からの考察を交えながら,結核問題にとりくむにいたったいきさつなどを話された.
丸山教授はそのあとを受けで,当日配布された「大阪大学医学部衛生学教室のあゆみ」を手にしながら,福原義柄・石原修・梶原三郎教授をへて今日に及んだ衛生学教室のあゆみを回顧し,退官記念オムニバス衛生学七話を,市民にも公開の講座として「言うことで自分の責任を重くする」いわゆる遺書の心境を語った.
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