ニュース診断
学校屋の横行は許せぬ
久米 茂
1
1深夜通信
pp.145
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205234
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教育あるいは学校という文字(ことば)が新聞・テレビに出ない日はない。これは私たちの"日常"の反映だと私は思う。決してマスコミが先走っているのではないようだ。というのは,身辺の日々は「うちの子がきのう学校で……」「あなたきょう先生がPTAでこんなこといってましたよ……」といった会話に満ちているからである。さらに「どこそこの学習塾は合格率が高い」といったうわさ話をする親たちの表情はおそろしく深刻だからだ。まさに"教育的日常"といわねばなるまい。だがこの"日常"はテストの結果を苦にして自殺したり,受験生活に疲れて神経をやられてしまうという惨害をもたらしている。これがやりきれない。しかも特効薬も,長期対策もないから残酷である。
「この惨害と残酷さは,主として公立学校万能の〈信仰〉からきている。これはよくない。だが,早急にあらためられる見通しはない。だから私学の役割が重視されねばなるまい。私学はカネがかかるというが,公立進学のために塾だ家庭教師だと財布をはたいているのを見ると,どっちが高くつくかわからんぞ」というのは,私立高校につとめる友人の言。このことばに反論する余地はいまのところ私にはない。だが私の耳目にふれる私学ニュースは暗い話ばかりだ。私の住む神奈川県では少なくとも5校で騒ぎがもちあがっている。相模工業大学付属高校,湘南女子学園,横浜学園,小田原短大に北鎌倉学園だ。
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