特集 精神分裂病患者への技術論
教育者の役割—父親の手記によせて
小坂 英世
1
1小坂診療所
pp.36
発行日 1971年2月10日
Published Date 1971/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204845
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私の分裂病理論は,江熊要一さんたちからの刺激を受けながら形成させてきたもので,要約すると次のようになる。
分裂病患者は,特異な生活上の弱点をもっている。それは(1)金銭の損失,異性の獲得,体面の保持,身体の故障に関する異常なまでのこだわり――約言すれば"自己保全に関する過敏症",(2)二者択一ができない,長期展望ができない,未練が多い,打算で行くべきところを倫理感で判断しようとするなど――約言すれば"課題解決の拙劣さ"という二系列のからみあったものである(この弱点<すなわら個体因>がどのようにして患者にそなわるのかは,まだ明言できない段階である。しかし,従来の治療法に頼るならば,再発をくり返すことによってこれがさらに露骨になっていくように見えるのも事実である)。
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