連載 復帰前の医療—本土・沖繩を結ぶ・3
最近の新聞紙上から
浦野 元幸
1
1沖縄名護保健所
pp.58-59
発行日 1970年9月10日
Published Date 1970/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204758
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保健所医師の不足
6月14日付沖縄タイムスには医師不足,ここも深刻,"早く補充を"――各保健所公衛活動に支障――という大きい見出し。復帰への足音とともに,本土のような保健所では興味がない,魅力がない,保健所のサラリーだけでは食えない。ことに復帰をした場合,本俸はとにかくとして,医師手当はまず認められそうにない。公衆衛生では飯の食いあげになる。こういうささやきを耳にする現在,保健所へ就職希望の医師は皆無。今のうちに臨床へ転換する準備をしようということで,長期研修に出る,あるいは退職開業する医師が続出している矢先です。沖縄では那覇,コザ,石川,名護,宮古,八重山の6保健所ですがすでに那覇,コザを除いては所長ひとり同様になってしまいました。結核の在宅治療制度がとられ,保健所が一元化した管理,治療にあたっているので,68年の結核実態調査では、悪条件にもかかわらず本土とほぼ同じDataが出ていますし,効果をあげるには極めて都合よくできています。沖縄の場合,急激な結核の減少が今後数年の間に可能だという点で高く評価している私です。しかし医師不足が大きな壁になってきました。
結核療養所の医師が保健所のクリニックを一部応援しだしましたが,こっちも研修,一般病院への転出,退職開業という動きです。
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