第10回社会医学研究会から
保健所の基本的課題について/住民の健康を守る運動/自由集会革新首長下における保健行政をめぐって
西 三郎
1
,
大橋 邦和
2
,
木下 安子
3
1国立公衆衛生行政学部
2名古屋大学医学部公衆衛生学教室
3東京大学医学部保健学科
pp.51-53
発行日 1969年12月10日
Published Date 1969/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204551
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保健所の基本的課題について,本年の社会医学研究会は,その論点を次の2点にしぼって討論を行ない,その結果を今後の行動に結びつけることをねらいとした。その2点とは,
1.保健所の基本的課題について,その理論的整理,具体的なあらわれ,住民の健康を守る保健所とはどういうものであるか,
2.住民の健康を守る保健所にするためにどのように行動すべきか。住民は,また保健所職員は,どのように活動すべきか,である。しかし,実際の発表と討論は必ずしも企画されたねらいを十分に達したとはいえず,問題提起に終わった感がなくもなかった。ここでは,出された問題について紹介してみよう。
住民の健康を守る保健所とは,住民による保健所の統制の方向が指摘されていることより,1つの解答は出されてはいた。しかし現実には,住民の健康を守る地方自治体の第一線機関である保健所が,国からの業務の押しつけに流されていることも見られている。このことは,国が保健所に期待してきた役割は,体位の向上,体力管理にはじまり,戦後の伝染病対策にあり,その裏付けとして,補助金が支出され,職員が配置されてきている。すなわちその役割が社会的に重要である場合は,財政的にも,職員の面からも好転し,逆に,その役割の低下と共に,低下している。このような背景のなかでは,共同保健計画という理念によっての住民参加は,ほとんど効果を期待し得なかった。
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