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女3人の沖繩発言
井下田 猛
1
1思想の科学研究会
pp.88
発行日 1969年10月10日
Published Date 1969/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204523
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少ない婦人の沖繩論議
来年にせまった"70年安保"論議は,いま急速度ににぎわいをみせている。いっさいのマスコミは,それこそ秒単位でといってもよいほどに,この安全保障条約問題にスペースをさいている。とうぜん,政党の機関紙・誌類も繰返しこれを論じ,政府のPR誌『時の動き』,外務省の『世界の動き』,それに政府出資の新聞『今週の日本』も精力的に"安保"を流している。そしてこれら各紙・誌に共通しているものは,沖縄返還をめぐるものである。まさしく,安保=沖縄問題というとられ方が,現在の,そして明年にかけての煮つまった焦点になっているのである。
物量ともに,きわめておびただしい安保=沖縄論議がみられているわけであるが,しかし,奇妙なことには女性の側からの,これへのアプローチなり発言は意外に乏しい。まだまだ物言わぬ,あるいは言えない立場に婦人たちがおかれてもいるわけだが,同時に,マスメディアの側に,婦人たちの叫びに耳をかそうとはしていない男性中心のマスコミである現状を物語っているわけである。必ずしも,けっして多くはない婦人たちの声の中から,ここでは3人の人たちに登場してもらうことにした(それでも,新聞投書には致死性神経ガスVXとかかわっての無名の婦人の発言もあるが,投書の制約から十二分にその人の意志が伝えられていないようにおもわれるので,今回は無名の人びとの発言はカットした)。
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