スポット
症状は重要か
小坂 英世
1
1東京精神障害者を守る連合会
pp.55
発行日 1969年6月10日
Published Date 1969/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204446
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これまでとかく精神科医は,精神病患者を"症状"という面でとらえようとしてきた。症状とはいわゆる精神病理学的症状であって,いわく関係妄想・作為体験・離人症等々,いかめしい名称のつけられたものが多数ある。精神科医たるものは,まずこれらの症状に通暁し,しかる後に患者と接するときは症状の有無を検索し,症状を消すことに専念し,症状によって入退院や職場復帰を決定してきた。つまりこれまでの精神科治療は,症状を中心にして展開されてきた。
しかし精神病患者を診療し,看護していく上で,症状というものはそんなに重要な意味をもっているのであろうか。
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