特集 これからの老人問題
これからの老人問題—保健婦のレポートをめぐって
塚本 哲
1
,
平田 マキ
2
1東洋大学社会学
2東洋大学大学院
pp.35-38
発行日 1968年8月10日
Published Date 1968/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204243
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"これからの老人問題"を考える場合,まず現在の老人の実態を知ることは,最も大切なことだろうと思います。この意味において藤村マサエさんと笠井キクヱさんによる老人に関する生活実態調査は,貴重なものであります。しかし,その実態に対する評価は大変むずかしいことであろうと思います。なぜなら,同じ資料でも,解釈の仕方によっては,かなり異った"これからの老人問題"の考え方が出てきそうだからです。
たとえば,藤村さんと笠井さんによる調査の結論は,1つの解釈でありますし,1つの考え方でありましょう。2人の方が,その職業的見地から分析された評価は「日本の社会保障は不備である。」しかし,わずかな予算でも老人のニードに応じた使い方をすべきだ。たとえば,老人ホームに入りたがらない民情にそって,その増設をはかるより,ホームケアーの拡充や老人会の育成などに重点を置いた方がよい。
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