特集 これからの老人問題
人口動態からみたこれからの老人問題
館 稔
1
1厚生省人口問題研究所
pp.10-12
発行日 1968年8月10日
Published Date 1968/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204237
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平均余命の延長
去る7月12日,厚生省が発表した67年の簡易生命表によると,死亡の状態を最も簡約に示すところの出生時の平均余命,すなわち「平均寿命」は男子68.91年,女子74.15年で北欧3国やオランダについで,先進国のなかでも非常によい国の1つとなった。戦前水準とみられる1935〜36年の第6回完全生命表によると,出生時の平均余命は,男子約47年,女子約50年であった。終戦後間もない1947年の第8回完全生命表によると男子50年,女子約54年であって,戦後20年間に,これまで先進国で経験されなかったような大幅な平均寿命の延長をみたわけである。
それは,戦後の日本において,死亡の改善がどんなに急遠でいちじるしいものであったかを物語っている。死亡の原因についてみれば,急性伝染病をはじめ細菌の感染による死亡が激減したことによっている。それは新しい化学薬剤が,公衆衛生運動によって,戦後の国民生活の悪条件を克服して,よく社会化したことによるところが大きくこの意味で,公衆衛生運動の勝利であるといってよい。
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