びぶりおていく
医療におけるケースワークの実際/保健室の仕事/地域精神衛生活動指針
吉田 ますみ
,
小倉 学
,
鈴木 淳
pp.60-61
発行日 1966年12月10日
Published Date 1966/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203804
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杉本さんが,メディカルソーシャルワークについて書いておられることを伺い,期待していたが,このたび大変りっぱな充実した内容の本ができ上がり本当にうれしい。メディカルソーシャルワークに関しては,これまでにもいくつかの著作が出されたが,歴史や定義や,わが国の現状や問題点について書かれたものが多く,実際に治療の場に役だて得るものは少なかった。この本では,理論と実際とが,実によくかみ合っており,多くの事例が示されて,問題の種類や把握のしかた,治療(処遇)方針のたてかたなどが,高いレベルでしかもわかりやすく説明されている。これは長年,実際家として活躍される傍ら,研究を重ねてこられた著者にして,はじめてなし得たたまものといえよう。教育実習の不備なわが国の現状では,大変参考になる貴重な内容である。
ケースワークの人間理解の理論的よりどころとしてことに初心の人びとは,それを,精神分析学一般に求めがちではないかと思う。しかし,それは,精神分析学そのものよりはむしろ,それから派生した自我心理学に求めるべきである。なぜならば,ケースワーカーは現実的問題に対する考え方や態度や行動といった,個人の人格の中,自我の周辺の問題の是正を目標とするからである。著者はこの点を特に指摘しながら,事例をあげて,精神療法とケースワーク治療の違いを説明している。
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