びぶりおていく
赤ちゃんブックス「しつけ」/生命の起源と生化学/看護研究の方法とまとめ方
M
,
G
,
H
pp.60-61
発行日 1966年6月10日
Published Date 1966/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203674
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われわれ小児科医にとって,近年社会環境がますます複雑化するにつれ,育児学が一層重要性を増していることはいまさら云々する必要はなかろう.ところがわが国の大学の小児科学のなかには,いまだ育児学の講座がない現状である.したがってわれわれ小児科医は自分の経験や内外の育児書,心理学書等を読んで,各自でその体系を築き上げねばならない.なかなか勉強する暇のない小児科医,産科医,保健婦などが適切な育児指導ができない理由もそこにあると思う.そういうかたがたに今回出版された「しつけ」なる育児書の一読をぜひお奨めする.私も通読してみて2,3の意見はあるが,育児に関して非常に多岐にわたって述べられているので,母親は時につけ,折りに触れて,解からないことがあれば,その項を見て解決することもできよう.
通読してまず感じたことは,母乳栄養に対する強調が不足しているということである。母乳栄養が将来の人間形成上においても,また純医学的にもいかに重要であるかは,ご承知の通りである.乳児栄養,特にその初期において,母乳栄養が最高であり,育児の第一歩であることを強調したいものである.「文明の産物であるミルク」というような表現は誤解をまねくおそれがあると思う.数ある綺麗な写真のなかに,愛情に満ちあふれた母親の乳房で哺乳している写真が,ただの一枚もないことは非常に淋しく思った,次に「抱きぐせ」の問題であるが「これは悪くない。
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