Medical Hi-lite
眼底所見—循環器系疾患における
T. M.
pp.58-59
発行日 1966年4月10日
Published Date 1966/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203630
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近年,循環器系疾患管理における検診項目の一つに,眼底所見が広くとりあげられるようなった.これは散瞳させるだけで,簡単に生体の血管の状態を観察できる眼底の変化が,循環器系疾患の症度を診定する上での重要な資料となりうるからである.今までに多くの観察や研究がなされてきたが,高血圧症の発生機序がまだ明らかにされていないために眼底に見られる各種の変化も,高血圧に由来するものがあるという点では,いまのところ研究者の意見は一致しているが,高血圧の症度と眼底所見症度との明確な因果関係については,明らかにされていない点が多い.
検査の方法としては,散瞳してから直像鏡で観察する方法と,近年開発された眼底カメラによる方法とがある.直像鏡の長所は,器具が簡単で持ち運びに便利で経費が安いことであり,いっぽう,眼底カメラのそれは,眼底の写真(カラースライドまたは黒白)をとることによって,正確な記録の保持と,データーの客観的判定を可能にすることである.したがって,現在成人病の健康管理をおこなっている事業所のようなところでは,眼底カメラがもっぱら使われるようになった.
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