研究・報告
大阪府四条畷保健所管内1市2町—国民健康保険医療2カ年間の推移
坂田 澤司
1
1大阪府四条畷保健所
pp.155-160
発行日 1966年2月10日
Published Date 1966/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203592
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まえがき
医療,公衆衛生,保険三者の有機的連繋によって地区共同保健計画を樹立し,計画的に公衆衛生を推進すべきことが説かれてすでに久しい.保健計画の基礎となる地区診断には種々の方法があり,国保医療統計は当該地区疾病の全貌をすべて表わすものではないが,医師に受診した顕在性の疾病を表現すると考えられ,地区診断の有力な一資料となることは疑いを入れない(昭和34年10月1カ月間の国民健康調査--国民の傷病り患状況,治療状況,治療費とその支払方法などを世帯の側から調べる調査--において,医師,歯科医師に受診した疾病は総治療件数の約半分50.4%を占め,残りの半数は買薬43.6%,その他あんま,はり,きゅうなどによって治療されている).従来公衆衛生の分野では死亡,出産統計などの人口動態統計および伝染病統計などが衛生統計として重視されてきたが,住民にとってより身近で切実に感じられる疾病,傷病などの統計が重視されるべきであり,疾病の分布がその地区においていかなる状態にあるかを知ることは,地区住民の関心事の一つでもあろう.また医療費の内容分析は疾病予防の効果判定にも若干は役立つであろうし.市町村のもっとも関心の深い国民健康保険の運営の問題と結びつけて,自主的な共同保健計画への参加を誘う因子にもなろうかと思われる.
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