特集 家族保健指導の再検討
「家族保健指導」の理解
小林 富美栄
1
1東京女子医大高等看護学校
pp.12-16
発行日 1965年11月10日
Published Date 1965/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203496
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保健婦のはたらきかけは個人,家族,および,家族以外の社会集団の3段階を対象にしておこなわれる.それぞれの段階におけるヘルスニードの解決を援助するためにとる保健婦の手段は,それぞれの段階において所在するニードの特徴,保健婦が活用できる自己の能力を含めたあらゆる人的・物的資源,時間的要素,問題に対応する保健婦の態度などの諸条件によって異なるのはいうまでもない.しかしながら"保健婦の仕事は集団に対する衛生教育であるべきだ"とか"いや,本来の仕事は家庭訪問である"とか"そんなことは非能率的であるから集団を対象にして指導をすべきである"などと,用いる手段,方法を公衆衛生看護の使命のように錯覚を起こしてしまうことは,しばしば見聞するところである.また個人別,家族別指導と地域社会集団指導のいずれを優先にするかについての論議がくり返されるところであるが,ニードの性質とか,公衆衛生サービスの具体的な目標のおき方,活用可能な人的,物的資源の状態,関連者の問題に対する考え方など,一概に他でやっていることに追随したり,一般化した概念をもつことは困難である.いかなる予想を保健婦のみならず関係者が見積るか,すなわち予測のたて方によっても異なってくる.
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