読者からの手紙
自然と人生
稲吉 はつゑ
1
1東京都梅ヶ丘保健所看護係
pp.9-10
発行日 1965年2月10日
Published Date 1965/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203301
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優生学
やっと起き上がれるようになった.地獄の3丁めから大急ぎに引き返して来て,始めて娑婆の景色を眺めたような気がする.すがすがしい気分で,窓越しに空のかなたから地平線に目を移した時,網膜に映ったのが緑である.ここに来た時は八重桜が満関であった.数日見ぬ間に緑がいっぱいといった感じがする.
自然の生命はすさまじいスピードをもっている.その新鮮さが2,3日楽しませてくれた.しかし凡人は自然の美にも飽きるとあくびの連続である.周囲のできごとはいやなことばかり……。注射が痛い,傷が痛い,体が痛い,おかゆの味気ないこと.
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